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II-B6 エンベディングとベクトル検索を理解する

文章の意味を数値化し、意味の近さで検索する仕組み

このレッスンの狙い:エンベディングとベクトル検索の役割をAIOの文脈で説明できる

最終更新: 2026-07-23

この記事の要点

  • エンベディングとベクトル検索の役割をAIOの文脈で説明できる
  • エンベディングとは何か
  • ベクトル検索とは何か
LLMとRAGの技術基礎II-B6

エンベディングとベクトル検索を理解する

「検索(リトリーバル)」を動かす2つの仕組み

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前回のII-B5で見たRAGの5段階のうち、「検索(リトリーバル)」の工程を実際に動かしているのが、エンベディングとベクトル検索です。この2つの仕組みを理解すると、AIが「キーワードが一致しなくても、意味が近い情報を見つけてくる」理由が分かるようになります。この2つがAIOの現場で何を意味するのかを、ここで具体的につないでいきます。

エンベディングとは何か

エンベディング(embedding)とは、単語・文・画像などを「意味の近さ」を表す数値ベクトルに変換したものです。例えば「dog」と「puppy」のように意味が近い語は、ベクトル空間上でも近い位置に配置されます(出典: Microsoft Tech Community, 2026年7月確認)。イメージとしては次のような感覚です。

「犬」   → [0.82, -0.14, 0.35, ...]
「子犬」 → [0.79, -0.11, 0.37, ...]  意味が近いのでベクトルも近い
「株価」 → [-0.22, 0.61, -0.05, ...] 意味が離れているのでベクトルも離れる

キーワードが完全一致していなくても、「意味」で検索できるのがエンベディングの最大の特徴です。

ベクトル検索とは何か

ベクトル検索とは、エンベディング同士の距離(近さ)を計算し、質問文の意味に最も近い文書を探す検索方式のことです。代表的な指標がコサイン類似度で、2つのベクトルの向き(角度)を-1〜1の範囲で表します(出典: Tiger Data, 2026年7月確認)。ベクトルの長さの影響を受けにくく計算が安定しやすいという特徴があり(出典: Tiger Data, 2026年7月確認)、ベクトルデータベースにエンベディングを格納し「意味が近い上位N件」を高速に検索する、というのが基本の動きです(出典: IBM, 2026年7月確認)。

完全一致に強いキーワード検索との役割分担

II-B5で触れたとおり、ベクトル検索は言い換えや同義語に強い一方、型番や専門用語のような表記の完全一致が重要な場面では弱くなることがあります。この2つの検索方式の得意・不得意を整理すると次のようになります。

検索方式得意なこと不得意なこと
ベクトル検索(意味検索)言い換え・同義語・意図の近さで探す型番・専門用語などの完全一致
キーワード検索(BM25等)表記の完全一致・固有名詞の特定言い換え表現・意図のゆらぎ

実務では、この2つを組み合わせるハイブリッド検索が広く採用されています(出典: フレクト, 2026年7月確認)。

AIOの実務にどうつながるか

エンベディングとベクトル検索の仕組みを知ると、コンテンツ制作の指針が見えてきます。同じ意味を指す言い換え表現を本文中に自然に含めておくと、ユーザーが多少違う言葉で質問しても意味の近さで拾われやすくなります。一方で、自社独自の製品名・型番といった固有表現は、言い換えではなく正確な表記そのものを本文に明記しておくことが、キーワード検索側で拾われるための備えになります。

実践ステップ

  1. 自社の主要な商品・サービス名について、ユーザーが使いそうな言い換え表現(同義語・関連語)を書き出す
  2. 書き出した言い換え表現が、本文中に自然な形で含まれているか確認する
  3. 型番・製品名・専門用語など、完全一致が重要な語句が正確な表記で本文に明記されているか確認する
  4. 意味は同じでも表現が古い(死語化した)言い回しが残っていないか見直す
  5. 自社サイト内で、同じ意味なのに表現がバラバラな箇所(表記ゆれ)がないか棚卸しする

まとめ

エンベディングは意味を数値ベクトルに変換する仕組みで、ベクトル検索はそのベクトル同士の近さをもとに文書を探す検索方式です。意味検索は言い換えに強い一方、完全一致には弱いという特性があるため、実務ではキーワード検索と組み合わせるハイブリッド検索が広く使われています。編II-Bもここまでで、LLMの学習・推論からRAG・エンベディングまでの技術基盤を一通りたどってきました。RAGの最初の工程であるチャンキングの具体的なやり方は、II-B7で確認します。

このレッスンはテキストとスライドで学べます。スライドは上のビューアからご覧ください。

確認テスト

選択肢をクリックすると、その場で正誤と解説が表示されます。

Q1. ベクトル検索の代表的な指標であるコサイン類似度は、2つのベクトルの向き(角度)を-1〜1の範囲で表す。

Q2. ベクトル検索が「不得意」とされているものはどれか。

Q3. エンベディングの説明として正しいものはどれか。

このレッスンのFAQ

Q. なぜ製品名や型番は言い換えでなく正確な表記のまま本文に書くべきなのですか?

自社独自の製品名・型番といった固有表現は、意味検索(ベクトル検索)では拾われにくいことがあるため、正確な表記そのものを本文に明記しておくことがキーワード検索側で拾われるための備えになります。

Q. ベクトル検索とキーワード検索はどちらか一方だけ使えばよいのですか?

いいえ。両者は得意・不得意が異なるため、実務ではこの2つを組み合わせるハイブリッド検索が広く採用されています。

Q. エンベディングによって何が可能になりますか?

キーワードが完全一致していなくても「意味」で検索できるようになります。意味が近い語同士はベクトル空間上でも近い位置に配置される仕組みです。

監修:鈴木晋介(株式会社WEBMARKS 代表取締役)

技術基礎RAGエンベディング
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