IX-C4 DSAとChatGPT「VLOSE」指定検討——大規模プラットフォーム規制の波
大規模プラットフォーム規制の波
このレッスンの狙い:ChatGPTのVLOSE指定検討という事例から、検索エンジンとAIチャットボットが同じ規制の枠組みで扱われ始めている流れを説明できるようになる
最終更新: 2026-07-25
この記事の要点
- ChatGPTのVLOSE指定検討という事例から、検索エンジンとAIチャットボットが同じ規制の枠組みで扱われ始めている流れを説明できるようになる
- 何がきっかけになったか
- まだ「検討」の段階であることに注意
「チャットボットは検索エンジンなのか」——この問いが、欧州では単なる議論にとどまらず、実際の規制手続きの俎上に載っています。2025年10月、欧州委員会がChatGPTをDSA上の「超大規模オンライン検索エンジン(VLOSE)」に指定するかどうかの検討を開始したという出来事は、AIOを学ぶ上で象徴的な事例です。
何がきっかけになったか
きっかけはOpenAI自身の開示でした。
用語解説
VLOP/VLOSEとは、EU域内月間アクティブユーザーが4,500万人を超えるオンラインプラットフォーム/検索エンジンに対し、DSA(デジタルサービス法)が課す指定区分です。指定されると、規制当局・利用者向け窓口の設置や違法コンテンツ通報体制などの追加義務が発生します。
2025年10月、OpenAIはChatGPT検索機能の直近6ヶ月間平均でEU域内月間1億2,040万人が利用していると開示しました。これは指定基準である4,500万人を大きく上回る水準で、「検索エンジンとしてのChatGPT」という位置づけが規制上も現実味を帯びてきたことを意味します(出典: TechRepublic、PYMNTS, 2025年10月)。
まだ「検討」の段階であることに注意
なお、独Handelsblatt紙は欧州委員会内の匿名情報源として「数日中にChatGPTのVLOSE指定が行われる」と報じたと伝えられていますが、これは未確定情報として慎重に扱う必要があります(出典: TechRepublic記事内引用)。
注意
本レッスン執筆時点で、ChatGPTのVLOSE指定は正式決定されていません。「検討が始まった」という事実と「指定が確定した」という事実は別物であり、混同しないでください。
指定されると何が変わるのか
もし正式にVLOSE指定された場合、4ヶ月の猶予期間を経て、規制当局・利用者向け窓口の設置、違法コンテンツ通報体制、広告透明性等の対応が義務化されます。参考までに、Google検索自体は2023年の制度開始時点からすでにVLOSE指定されています(出典: 欧州委員会 list of designated VLOPs and VLOSEs)。
- 規制当局・利用者向け窓口の設置
- 違法コンテンツの通報体制の整備
- 広告の透明性確保の対応
- 4ヶ月の猶予期間内での体制整備完了
(出典: PYMNTS, 2025年)
検索エンジンとAI検索チャットボットが、同じ規制の土俵に乗り始めているという流れそのものが、欧州でAIOを教える上での重要な論点です。
Google検索とAIチャットボットの立場の違い
Google検索は制度発足当初からVLOSE指定を受けており、すでに10年近く同様の義務に対応してきた実績があります。一方でChatGPTのような対話型AIサービスは、検索エンジンという括りに入るかどうかの議論自体が始まったばかりです。この立場の違いは、規制対応の成熟度という点でも、AIチャットボットを提供する企業とGoogleのような既存検索エンジンとの間に差があることを示唆しています。AIOを教える立場としては、「新しいAI検索プレイヤーほど規制対応の経験が浅い」という構図を理解しておくと、今後の規制強化の展開を読みやすくなります。
実践ステップ
- ChatGPTのVLOSE指定検討について、公式発表の続報を定期的にチェックする
- 自社が欧州向けにAIチャットボット機能を提供している場合、DSAの適用可能性を確認する
- Google検索が既にVLOSE指定されている前提で、自社の検索対応の水準を見直す
- 「検討」「報道」「正式決定」を区別してニュースを追う癖をつける
- 指定確定時に必要になりそうな対応(窓口設置・通報体制)を事前に洗い出しておく
まとめ
ChatGPTのVLOSE指定検討は、月間1.2億人という利用規模を背景に、「AI検索チャットボットは検索エンジンなのか」という定義論争を規制の現場に持ち込みました。正式決定はまだ先ですが、検索エンジンとAIチャットボットが同じ規制の枠組みで語られ始めている流れは押さえておくべきです。次のレッスンでは、ドイツで実際に判決が出た著作権リスクの事例、GEMA対OpenAI判決を見ていきます。
このレッスンはテキストとスライドで学べます。スライドは上のビューアからご覧ください。
確認テスト
選択肢をクリックすると、その場で正誤と解説が表示されます。
Q1. 2025年10月時点で、ChatGPTのDSA上「VLOSE」指定はすでに正式決定している。
正しくは検討が始まった段階であり、正式決定はまだされていません。
Q2. OpenAIが開示したChatGPT検索機能のEU域内月間利用者数は。
直近6ヶ月間平均でEU域内月間1億2,040万人が利用していると開示した。
Q3. VLOSE指定の基準となるEU域内月間アクティブユーザー数は。
DSAが課すVLOP/VLOSE指定の基準は月間アクティブユーザー4,500万人超。
このレッスンのFAQ
Q. なぜChatGPTのVLOSE指定が検討され始めたのか。
OpenAIがChatGPT検索機能のEU域内月間利用者数が1億2,040万人と開示し、指定基準の4,500万人を大きく上回ったためです。
Q. VLOSE指定は正式に決定しているか。
いいえ、本レッスン執筆時点では検討段階であり、正式決定はされていません。
Q. Google検索とChatGPTのVLOSE指定における立場の違いは。
Google検索は2023年の制度開始時点からVLOSE指定されている一方、ChatGPTは検索エンジンに該当するかの議論が始まったばかりです。