VI-C6 AIO診断フレームワークに学ぶ
外部の診断フレームワークをWEBMARKS流に体系化して紹介する
このレッスンの狙い:AIO診断で使う実践的な視点を体系立てて説明できる
最終更新: 2026-07-23
この記事の要点
- AIO診断で使う実践的な視点を体系立てて説明できる
- ここまでの事例と、ここからの視点の違い
- 「思い込み」ではなく実測から始める
ここまで海外の成功事例2本、国内の成功事例2本、そして失敗事例と教訓を見てきました。ここで一度、個々の事例の中身から離れ、WEBMARKSが実際の診断の現場で使っている仕組みそのものを紹介します。クライアント企業の点数を公開する回ではありません。「診断をどう組み立てるか」という型を持ち帰ってもらったうえで、レッスン後半ではWEBMARKSが自社サイトを同じ型で診断した実測結果を、悪い発見も含めてそのまま公開します。
ここまでの事例と、ここからの視点の違い
VI-C1からVI-C5までは、他社の施策と結果を外から観察する視点でした。ここからは逆に、診断そのものを組み立てる側の視点に立ちます。WEBMARKS社内では、企業のURLを1つ入れるだけでAIO診断を全自動で行う仕組み(aio-scan)を実際に運用しており、この回で紹介する型はその仕組みがそのまま辿っている手順です。本来は見込み客への提案前診断や講座のデモに使う仕組みですが、型そのものは業種を問わず応用できます。
「思い込み」ではなく実測から始める
診断の出発点は、担当者の感覚ではなく実測です。まず対象サイトを技術的にクロールして状態を確認し、Ahrefsの外部データ(被リンク数・上位に入っている流入キーワードなど)を取得します。そのうえで、業種やサービス内容から見込み客がAIに聞きそうな日本語の質問を10問前後用意し、実際の検索結果に対象企業が登場するか、代わりに誰が登場するかを1つずつ記録します。ここで得られるのは「検索が参照するインデックス上の露出」の実測であり、ChatGPTやPerplexityの回答そのものを保証するものではありません。この位置づけを曖昧にしないことも、診断の型の一部です。企業プロフィールを推定する場面はあっても、推測の実績数字を作ることは禁止というルールも徹底しています。
技術基盤の足切りで優先順位を決める
集めたデータは7軸・100点満点でスコア化しますが、ここで重要なのが足切りの考え方です。対象ページがJavaScriptに強く依存していると判定された場合、他の軸がどれだけ良くても総合点は60点が上限になります。AIクローラーが技術的に読めないサイトに、コンテンツの工夫や信頼性の材料をいくら積み上げても評価のしようがないからです。「まず技術基盤を疑う」という順番は精神論ではなく、スコアリングの設計そのものに組み込まれています。総合点はS(85点以上)からD(39点以下)までの5段階のグレードで示されます。
競合比較と実装素材まで、診断を「使える形」に落とす
自社(または診断対象)の点数だけを見ても、次に何をすべきかは見えてきません。そこで同業・同規模の3〜5社を軽く診断し、DR(被リンクの強さを表す指標)やllms.txtの有無、FAQ・Organizationの構造化データ、AIクローラーの許可状況を比較します。そのうえで、失点した項目を影響度・工数・実施フェーズの3つの軸で並べ、8〜15個の改善アクションに落とし込みます。診断を「読み物」で終わらせず、llms.txtの草案やFAQPage用のJSON-LDの草案、そして着手の順番を示す90日ロードマップまで、実際に使える素材としてHTMLダッシュボードとレポートに落とし込むところまでを型に含めているのが特徴です。
実例:自社サイトを同じ型で診断した結果
この型は机上の空論ではありません。WEBMARKS自身が2026年6月、自社サイト(webmarks.co.jp)にこの診断をそのまま実行しています。結果は総合84点・グレードA(7軸・100点満点)。ただし、この実例で持ち帰ってほしいのは点数の高さではなく、実測が思い込みを裏切った2つの瞬間です。
1つ目。事前の想定どおり、AI検索系ボット全許可・JS非依存・構造化データ23種+llms.txt実装と、強い項目が並びました。ところが同じクロールで、本業の主力ページにnoindexと他社ドメインへのcanonicalが設定されているという重大な設定ミスが発覚しました。担当者の誰も気づいていなかった、検索からの除外と評価流出が同時に起きる設定です。「うちは大丈夫」という感覚を、クロールの実測は容赦なく裏切ります。
2つ目。社名を含む指名検索では公式ページが上位を占める一方、「AIO対策とは」のような非指名の質問4問では自社が一度も登場しないことが数字で確認されました。強みと弱みは軸ごとにはっきり分かれる——だからこそ感覚の総合印象ではなく、7軸のスコア分解と足切り設計が必要になるのです。
ポイント
自社診断の最大の成果物は点数ではなく「即日直せる重大発見」でした。診断の型が正しければ、A評価のサイトからも必ず改善の種が出てきます。
実践ステップ
- 自社(または診断対象)のrobots.txtとllms.txtの有無を確認する
- 主要ページのHTMLソースで構造化データ(JSON-LD)の有無をざっと確認する
- 想定顧客がAIに聞きそうな日本語の質問を10問書き出し、実際に検索して自社が登場するか記録する
- 同業・同規模の競合を3社選び、同じ観点(llms.txt有無・構造化データ)で簡易比較する
- 見つかった課題を「効果の大きさ」と「対応の手間」の2軸でざっくり並べ、着手する順番を仮決めする
まとめ
AIO診断で大事なのは、感覚ではなく実測から始めること、技術基盤の足切りで優先順位を決めること、そして診断を1回で終わらせず実装素材まで落とし込み、再計測までワンセットで回すことです。この型は特定の1社の成功譚ではなく、WEBMARKS自身が診断の現場で実際に運用している手順そのものであり、序編のI-11で触れた自社の月次点検も、同じ考え方の上に成り立っています。次のVI-C7では、この型を実行に移してから実際に結果が見えてくるまでの時間軸を見ていきます。
このレッスンはテキストとスライドで学べます。スライドは上のビューアからご覧ください。
確認テスト
選択肢をクリックすると、その場で正誤と解説が表示されます。
Q1. WEBMARKSが自社サイト(webmarks.co.jp)を2026年6月に同じ型で診断した結果、総合84点・グレードAだった。
WEBMARKS自身が2026年6月、自社サイトにこの診断を実行した結果は総合84点・グレードA(7軸・100点満点)でした。
Q2. 診断フレームワークで、対象ページがJavaScriptに強く依存していると判定された場合、総合点の上限はどうなるか。
対象ページがJavaScriptに強く依存していると判定された場合、他の軸がどれだけ良くても総合点は60点が上限になります。
Q3. WEBMARKS自社診断で発覚した重大な設定ミスとは何か。
同じクロールで、本業の主力ページにnoindexと他社ドメインへのcanonicalが設定されているという重大な設定ミスが発覚しました。
このレッスンのFAQ
Q. 診断の出発点として本文が強調していることは何か。
担当者の感覚ではなく実測から始めることが出発点として強調されています。
Q. WEBMARKS自社診断で、非指名の質問4問についてどのような結果が確認されたか。
「AIO対策とは」のような非指名の質問4問では自社が一度も登場しないことが数字で確認されました。
Q. 診断結果はどのような実装素材にまで落とし込まれるとされているか。
llms.txtの草案やFAQPage用のJSON-LDの草案、着手の順番を示す90日ロードマップまで、実際に使える素材としてHTMLダッシュボードとレポートに落とし込まれます。