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IX-A3 調査によって結論が真逆?——AI検索データの読み方

AI検索データの読み方

このレッスンの狙い:横断比較と前後比較という調査手法の違いが結論の見え方を左右することを理解し、海外のAI検索統計を鵜呑みにせず読み解けるようになる

最終更新: 2026-07-25

この記事の要点

  • 横断比較と前後比較という調査手法の違いが結論の見え方を左右することを理解し、海外のAI検索統計を鵜呑みにせず読み解けるようになる
  • Semrush/Datosの「前後比較」データ
  • なぜ結論が分かれるのか
総論:世界のAI検索地図IX-A3

調査によって結論が真逆?

AI検索データの読み方

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前レッスンでは、Pew Research CenterとAhrefsという異なる角度の調査が「AI Overviewsでクリックが減る」という同じ方向を示していることを確認しました。ところが、同じテーマを追った別の調査会社が、真逆に近い穏やかな結論を出しているとすればどうでしょうか。世界のAIOを学ぶ上で欠かせない、データの読み方そのものを扱うレッスンです。

Semrush/Datosの「前後比較」データ

SemrushとDatosは、2025年1〜11月にかけて1,000万件以上のキーワードを追跡しました。まずAI Overviewsの出現率そのものが、1月6.49%→7月ピーク24.61%→11月15.69%と大きく変動しており、これはGoogle側の表示調整によるものとみられています(出典: Semrush, 2025年12月更新)。さらに重要なのは、同一キーワードのAI Overviews導入前後を比較した部分です。20万件超(検索ボリューム100以上)を対象にした分析では、ゼロクリック率はむしろ33.75%→31.53%へとやや低下しており、Ahrefsが示した「クリックが大きく減る」という結論とは逆方向のニュアンスを示しています。

用語解説

「横断比較」とは、同時点でAI Overviews表示ページと非表示ページを比べる手法です。「前後比較」とは、同一キーワードでAI Overviews導入の前と後を時系列で比べる手法です。どちらを採用するかで、同じ現象からでも異なる結論が出ることがあります。

なぜ結論が分かれるのか

Ahrefsの調査は「AI Overview表示ページ」と「非表示ページ」を横断的に比較する手法でした。一方Semrush/Datosは、同一キーワードの時系列変化を前後で比較する手法です。比較の設計(横断比較か前後比較か)が違うだけで、同じAI Overviewsという現象から正反対に近い印象の結論が導かれるという点は、AIO業界のデータリテラシーを学ぶ上で重要な教材です。

手法の違いが導く結論の違い

Ahrefs(横断比較)

  • AI Overview表示ページはクリック率が大きく減少

Semrush/Datos(前後比較)

  • ゼロクリック率はむしろ小幅に低下

参考情報として、AI Overview内で自社が引用されると通常より35%多い有機クリック・91%多い広告クリックを獲得したという報告例もありますが、これは一次発表元を明確に特定できない二次集約記事経由の情報であり、参考値として扱う必要があります。

実務者が持つべき視点

「AIOでCTRが必ず下がる」と単純に断定はできないというのが、両調査を並べたときの誠実な結論です。手法の違いを理解せずに一つの調査結果だけを引用すると、間違った危機感や過信につながりかねません。海外の統計を扱う際は、まず調査手法(横断か前後か、サンプル数、対象期間)を確認する癖をつけることが、次のレッスンで扱うGartner予測の読み方にもつながります。

ポイント

海外のAI検索統計を紹介するときは、数値そのものだけでなく「何と何を比較した数値か」を必ずセットで伝えるようにしてください。横断比較の数値と前後比較の数値を混ぜて語ると、受講生や取引先に誤った印象を与えるリスクがあります。

実践ステップ

  1. 引用したい海外データが「横断比較」か「前後比較」かをまず確認する
  2. 調査のサンプル数・対象期間・対象国を確認し、自社の状況にどこまで当てはめられるか判断する
  3. 同じテーマで複数の調査がある場合は、結論が一致しているかどうかを必ず確認する
  4. 確度の低い(一次発表元不明の)報告例は「〜という報告例がある」という留保付きで扱う
  5. 資料や講義で数値を紹介する際は、出典媒体名と調査時点を必ず明記する

まとめ

同じ「AI Overviewsとクリック率」というテーマでも、比較手法が違えば結論の見え方は大きく変わります。次のレッスンでは、2024年に話題になったGartnerの「検索25%減」予測を取り上げ、業界のハイプ(過熱した期待)と実測データのギャップから、予測の読み方を学びます。

このレッスンはテキストとスライドで学べます。スライドは上のビューアからご覧ください。

確認テスト

選択肢をクリックすると、その場で正誤と解説が表示されます。

Q1. Semrush/Datosの前後比較データでは、ゼロクリック率はAI Overviews導入前後でむしろやや低下したと報告されている。

Q2. AI Overviewsの出現率(Semrush/Datos, 2025年)のピークはいつか。

Q3. AhrefsとSemrush/Datosで結論が分かれた主な理由として本文が挙げるのは。

このレッスンのFAQ

Q. Semrush/Datosの調査でAI Overviewsの出現率はどう推移したか。

2025年1月6.49%→7月ピーク24.61%→11月15.69%と大きく変動しました。

Q. なぜAhrefsとSemrush/Datosで結論が異なるのか。

Ahrefsは横断比較(表示ページ vs 非表示ページ)、Semrush/Datosは前後比較(同一キーワードの導入前後)という手法の違いによるものです。

Q. 「AI Overview内で引用されると35%多いクリックを獲得」という報告例はどう扱うべきか。

一次発表元を明確に特定できない二次集約記事経由の情報であり、参考値として扱う必要があります。

監修:鈴木晋介(株式会社WEBMARKS 代表取締役)

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