V-C1 AI参照トラフィックの正体を理解する
「Direct」に紛れ込みがちなAI経由流入の実態
このレッスンの狙い:AI参照トラフィックの計測上の課題を説明できる
最終更新: 2026-07-23
この記事の要点
- AI参照トラフィックの計測上の課題を説明できる
- なぜAI経由の訪問は「Direct」に化けるのか
- 数字で見る「ダークトラフィック」
ChatGPTやPerplexityで自社が紹介され、そこから実際にサイトへの訪問が発生していたとしても、その訪問はGA4の画面上で素直に「AI経由」とは表示されません。多くの場合、正体不明の「Direct」や「Referral」に紛れ込み、本当は存在しているはずのAI経由流入が、まるで無かったことにされてしまうのです。まずはこの「見えなくなる仕組み」そのものを正しく理解するところから始めましょう。V-C2以降で行う設定変更は、この構造を知っているかどうかで納得感がまったく変わってきます。
なぜAI経由の訪問は「Direct」に化けるのか
ブラウザがサイト間を移動する際、通常はリファラー(直前にどのページ・サイトを見ていたかを伝える参照元情報)がサーバーに送信され、GA4はこれをもとに流入元を判定します。ところがChatGPTのモバイルアプリ内リンクや、プライバシー保護を重視する一部のブラウザ機能では、このリファラー情報がそもそも送信されないケースがあります。参照元不明のアクセスをGA4は「Direct(直接入力)」として扱う仕組みになっているため、実際にはAI経由で来ているのに、統計上は何もないところから突然サイトに来た人として記録されてしまうのです(出典: Averi, 2026年7月確認)。
数字で見る「ダークトラフィック」
この現象は業界でダークトラフィック(発生源が特定できないまま計測上「Direct」に埋もれてしまう流入)と呼ばれています。ある分析では、「Direct」トラフィックの増加のうち30〜60%程度がAI経由の可能性があると推計されています(出典: Averi, 2026年7月確認)。さらに2026年2月の別の分析では、AI経由と判定できたトラフィックのうち70.6%がGA4上でDirectとして着地していたという報告もあります(出典: Loamly, 2026年2月)。これらはあくまで個別事業者の分析結果であり、業種やサイト構造によって変わる目安の数字として受け止める必要がありますが、「AI経由流入の大半がDirectに埋もれていても不思議ではない」という前提を持っておくことが出発点になります。
「言及」と「参照トラフィック」は別のものと考える
もう一つ大事な整理があります。AIの回答の中で自社名が挙がる言及と、そこから実際にサイトへ人が訪れる参照トラフィックは、まったく別の現象だという点です。SoVや言及率(編V-B参照)はAIの回答内での存在感を測る指標であり、訪問が発生したかどうかとは直接連動しません。AIが紹介してくれても必ずしもリンクがクリックされるとは限らず、クリックされた分の一部がさらにDirectへ埋もれるという、二重の見えにくさがAI参照トラフィック計測の難しさの正体です。
この後の見取り図
参照流入とコンバージョン計測の全体的な考え方は編V-Aで触れた通りですが、ここではその一角である「AI経由かどうか」の切り分けに焦点を絞ります。具体的な手当ては、チャネルグループへのルール追加(V-C2)と、本番反映前に安全確認できる探索レポートの使い方(V-C3)という2つの作業に分けて進めていきます。まずは「今は見えていないだけで、確実に存在している流入がある」という感覚だけ持っておいてください。
実践ステップ
- GA4の「集客」→「トラフィック獲得」レポートを開き、直近30日の「Direct」チャネルのセッション数の推移を確認する
- 同じ期間のSearch Consoleで、自社ブランド名(指名検索)の表示回数・クリック数の推移を確認する
- Directの増減とブランド指名検索の増減を見比べ、Directだけが不自然に伸びていないかを確認する
- 自社の主要ページを1つ選び、ChatGPTとPerplexityで関連する質問を実際に投げて、自社が引用されるかを確認する
- 引用された場合は回答内のリンクを開き、実際に自社サイトへ遷移する構造になっているかを確認する
- 確認できた内容(引用の有無・リンクの形・Directの動き)を簡単にメモし、次のレッスンでの設定作業に備えて保存しておく
まとめ
AI経由の訪問は、リファラー情報が送信されないことなどが原因で、GA4上では「Direct」や「Referral」に紛れ込みやすいという構造的な癖があります。複数の分析で、Direct増加の一部、あるいはAI経由トラフィックの大半がこの現象の影響を受けていると報告されており、目に見える数字だけを鵜呑みにすると実態を見誤ります。要するに、今の数字がそのまま実態ではないという前提を持つことが、AIO計測の第一歩です。この前提を握ったところから、実際の可視化作業に着手していきます。
このレッスンはテキストとスライドで学べます。スライドは上のビューアからご覧ください。
確認テスト
選択肢をクリックすると、その場で正誤と解説が表示されます。
Q1. AI経由の訪問は、GA4上で常に正確に「AI経由」と分類して表示される。
多くの場合「Direct」や「Referral」に紛れ込み、正確に表示されないとされています。
Q2. ある分析(Averi)で、「Direct」トラフィックの増加のうちAI経由の可能性があると推計された割合はどれか。
Direct増加のうち30〜60%程度がAI経由の可能性があると推計されています。
Q3. 「言及」と「参照トラフィック」の関係について正しい説明はどれか。
AIが紹介してくれても必ずしもリンクがクリックされるとは限らず、両者は別の現象だとされています。
このレッスンのFAQ
Q. なぜAI経由の訪問はGA4上で「Direct」に化けてしまうのですか。
ChatGPTのモバイルアプリ内リンクなど、リファラー情報がそもそも送信されないケースがあり、GA4は参照元不明のアクセスをDirectとして扱う仕組みになっているためです。
Q. AIの回答内で自社名が挙がる「言及」があれば、必ずサイトへの訪問(参照トラフィック)が発生しますか。
必ずしも発生しません。AIが紹介してくれてもリンクがクリックされるとは限らず、クリックされた分の一部がさらにDirectへ埋もれるという二重の見えにくさがあります。
Q. ダークトラフィックとは何ですか。
発生源が特定できないまま計測上「Direct」に埋もれてしまう流入のことです。