VIII-A1 AI経由のEC流入が急拡大中―EC/D2C業界の市場データ
EC/D2C業界の市場データ
このレッスンの狙い:EC/D2C業界でAI検索経由の流入・注文が拡大しているデータを理解し、自社の対応優先度を数字で説明できるようになる。
最終更新: 2026-07-25
この記事の要点
- EC/D2C業界でAI検索経由の流入・注文が拡大しているデータを理解し、自社の対応優先度を数字で説明できるようになる。
- 流入・注文の伸び幅が他チャネルと桁違い
- 日本の消費者とプラットフォームもすでに動いている
編VI-Aで一度触れたEC・D2C業界の要点を、ここからの編VIII-Aで1本ずつ深掘りしていきます。最初のテーマは、担当者が一番気にする「AI経由の流入は本当に伸びているのか」という数字の裏付けです。結論から言うと、EC/D2Cは他業界と比べても具体的な成長データがそろっている、数少ない業界です。
流入・注文の伸び幅が他チャネルと桁違い
ユーロモニターの調査によれば、生成AI経由のEC流入は2025年1〜12月で前年比302%増となり、他チャネル全体の伸び(23%増)を大きく上回りました(出典: ビジネスジャーナル, 2026年5月)。Shopify加盟店の実績としては、AI検索経由アクセスが前年比9倍超、注文件数が15倍以上に拡大したと報告されています。AI経由の購買者は平均注文額が従来チャネルより30%高く、新規顧客獲得率は2倍超という調査結果も紹介されています(出典: 同上)。
302%増
生成AI経由のEC流入(2025年、他チャネルは23%増)
9倍超
Shopify加盟店のAI検索経由アクセス増加率
15倍以上
同、注文件数の増加率
51%以上
「ショッピングにAIを活用」と回答した日本の消費者
日本の消費者とプラットフォームもすでに動いている
日本の消費者向けの調査でも、AIを使う人がすでに半数を超えています(詳しくは上図)。プラットフォーム側の動きも活発です。楽天グループは2026年1月5日、AIコンシェルジュ「Rakuten AI」を楽天市場アプリへ搭載したと公式発表しました。LINEヤフーも2026年5月21日、Yahoo!ショッピングをOpenAIの「Apps in ChatGPT」に対応させたと発表しています(出典: ビジネスジャーナル, 2026年5月)。ChatGPT全体では1日あたり約5,000万件のショッピング関連の質問が寄せられているという報告もあります(出典: eMarketer, 2026年)。「そのうち対応する話」ではなく「もう始まっている変化」だと捉えてください。
着地するのは「商品ページ」
Search Engine Landが166のGA4プロパティを横断分析した調査では、EC業界のAI経由訪問者の着地ページは商品ページが43%を占めるとされています(出典: Search Engine Land, 2026年7月)。教育業界のコースページ(52%)、医療の企業情報ページ(42.1%)と並べると、業界ごとに着地傾向がはっきり分かれていることが分かります。ECはトップページよりも、個別の商品ページそのものの情報量が問われる業界だと言えます。
用語解説
「AI経由訪問者の着地ページ」とは、ChatGPTなど生成AIの回答からリンクをたどってきた訪問者が、サイト内で最初に開くページのことです。業界によって送客されやすいページの傾向が大きく異なります。
派手な将来予測は「予測」として扱う
McKinseyの分析では、2030年までに米国B2C小売の最大1兆ドル相当がagentic commerce(AIエージェント経由の商取引)になり得るとされ、グローバルでは3〜5兆ドル規模という試算も紹介されています(出典: McKinsey分析、Wikipedia経由2026年確認)。ただしこれはあくまで予測であり、すでに起きた事実ではありません。AIが「商品を探して比較する」段階(discovery)と「決済まで代行する」段階(checkout)はまったく別物で、この違いはA11で詳しく扱います。
実践ステップ
- 自社のGA4で直近3か月のReferral/Unassignedトラフィックの推移を確認する
- 主力商品名・カテゴリ名でChatGPT・Perplexityに質問し、自社が紹介されるか試す
- Shopify・楽天・Yahoo!ショッピングなど自社が出店するモールのAI対応状況を調べる
- 商品ページへの流入経路別データを月次で記録できる状態にする
- 上記の数字を社内共有資料にまとめ、対応優先度を議論する材料にする
まとめ
EC/D2C業界は、AI経由の流入・注文が具体的な数字で裏づけられている数少ない業界です。302%増という市場全体の伸びと、Shopify加盟店の9倍超・15倍以上という個社データ、そして商品ページへの着地43%という着地傾向を押さえておけば、社内説明にも困りません。次のA2では、お客様が実際にAIへどう質問しているかというクエリのパターンを具体的に見ていきます。
このレッスンはテキストとスライドで学べます。スライドは上のビューアからご覧ください。
確認テスト
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Q1. 生成AI経由のEC流入の伸び率(2025年)は、他チャネル全体の伸び率を下回った。
正しくは、生成AI経由のEC流入は前年比302%増となり、他チャネル全体の伸び(23%増)を大きく上回った。
Q2. Shopify加盟店において、AI検索経由の注文件数は前年比でどの程度増加したと報告されているか。
Shopify加盟店の実績として、AI検索経由アクセスが9倍超、注文件数が15倍以上に拡大したと報告されている。
Q3. Search Engine Landの調査によれば、EC業界のAI経由訪問者が最も多く着地するページはどこか。
EC業界のAI経由訪問者の着地ページは商品ページが43%を占めるとされている。
このレッスンのFAQ
Q. AI経由のEC流入は本当に伸びているのか?
はい。ユーロモニターの調査では2025年に生成AI経由のEC流入が前年比302%増となり、他チャネル全体の伸び(23%増)を大きく上回りました。
Q. 楽天はAIコンシェルジュをいつ導入したか?
楽天グループは2026年1月5日、AIコンシェルジュ「Rakuten AI」を楽天市場アプリへ搭載したと公式発表しました。
Q. McKinseyのagentic commerce試算は確定した事実か?
いいえ、2030年までに米国B2C小売の最大1兆ドル相当がagentic commerceになり得るという試算はあくまで予測であり、すでに起きた事実ではありません。