VIII-J1 相談する前にまずAIに聞く―法律相談におけるAI検索利用データ
法律相談におけるAI検索利用データ
このレッスンの狙い:弁護士ドットコムの意識調査(生成AI利用経験60.6%、「打ち明けやすさ」への期待はAIが弁護士を上回る一方、実際の相談利用意向は弁護士62.3%対AI11.0%)を理解し、「情報収集はAI、依頼は専門家」という使い分けの構図を説明できるようになる。
最終更新: 2026-07-25
この記事の要点
- 弁護士ドットコムの意識調査(生成AI利用経験60.6%、「打ち明けやすさ」への期待はAIが弁護士を上回る一方、実際の相談利用意向は弁護士62.3%対AI11.0%)を理解し、「情報収集はAI、依頼は専門家」という使い分けの構図を説明できるようになる。
- 6割が生成AIを使ったことがある
- 「話しやすさ」はAI、「依頼」は専門家
法律相談は長らく「まず専門家に会うこと」から始まっていました。ところがここ数年で、その一歩手前に「まずAIに聞いてみる」という行動が挟まるようになったというデータが出てきています。編VIII-Jでは、この変化を出発点に、士業(弁護士・税理士・社会保険労務士・行政書士・司法書士等)のAIO(AI検索最適化)を12回に分けて扱います。
注意
本レッスンおよび編VIII-J全体は、士業のAIOに関する情報整理であり、法的助言を行うものではありません。個別の広告表現・規制の解釈に不安がある場合は、必ず所属団体や弁護士等の専門家に確認してください。また、本編で紹介する統計・事例には確度にばらつきがあり、士業は数値検証済みの公開事例がまだ少ない業種であることも先にお伝えしておきます。
6割が生成AIを使ったことがある
弁護士ドットコム株式会社(プロフェッショナルテック総研)が同社の一般会員571名を対象に実施した意識調査(2024年11月27日〜12月3日実施、2025年4月15日発表)によれば、生成AIの利用経験がある回答者は60.6%にのぼりました。内訳は「日常的に使っている」19.8%、「たまに使う」33.3%、「一度だけ」7.5%で、利用経験のあるサービスはChatGPTが91.6%と突出しています(出典: 弁護士ドットコム株式会社プレスリリース, 2025年4月)。
生成AI利用経験あり
60.6%(日常的19.8%+たまに33.3%+一度だけ7.5%)
利用サービスの内訳
ChatGPTが91.6%と突出
打ち明けやすさへの期待
AI48.0%が弁護士29.2%を上回る
実際の相談利用意向
弁護士62.3%に対しAIは11.0%
「話しやすさ」はAI、「依頼」は専門家
同調査で興味深いのは、法律相談における期待度を弁護士とAIで比較した結果です。「打ち明けやすさ」への期待はAIが48.0%、弁護士が29.2%とAIが上回りました。日常的にAIを利用する層に限ると72.6%がAIの「打ち明けやすさ」を支持しています。ところが実際に相談したい相手を聞くと、弁護士62.3%に対しAIはわずか11.0%にとどまります(出典: 同上)。
AI
- 打ち明けやすさへの期待48.0%
- 日常的AI利用層では72.6%
弁護士
- 打ち明けやすさへの期待29.2%
- 実際の相談利用意向62.3%
この結果は、相談前の情報収集・心理的ハードルの低減ではAIが期待される一方、実際に依頼する段になると専門家が依然優位という「使い分け」の構図を示しています。次のJ-2では、この使い分けをクエリの型として整理し、自事務所のコンテンツがどちらの段階に対応できているかを診断します。
「来所前にChatGPTで調べてきた」という声
定量調査ではありませんが、実務家向けの複数の記事は「相談者が事前にChatGPTで調べてから来所するケースが目立つ」という定性的な傾向を報告しています(出典: ミカタ少額短期保険「ChatGPTやAIで法律相談する危険性」)。相談前にAIへ状況を入力し、ある程度の見立てを持った状態で専門家の元を訪れる、という流れが実務の現場でも意識され始めているということです。
用語解説
「生成AI」とは、ChatGPTのように文章・回答を新たに作り出せるAIのことです。検索エンジンのようにウェブページを探して見せるのではなく、質問に対して1つの文章としてまとめた回答を生成する点が特徴で、この回答の中で自事務所がどう扱われるかを最適化することが士業のAIOの出発点になります。
税務・労務分野はまだデータが薄い
弁護士ドットコムの調査は法律相談に特化したものであり、税務・労務相談に特化した同種の定量調査は、本編の執筆時点では見つかっていません(要確認)。したがって「士業全体でも同じ比率」と一般化することはできず、業種ごとの実態は今後の調査を待つ必要があります。また、同調査は法律相談プラットフォームを運営する企業自身が実施したものであり、自社サービスに関心のある会員が母集団になっている点もあわせて留意してください。
実践ステップ
- 自事務所のFAQ・コラムが「情報収集段階」の読者を想定できているか確認する
- ChatGPTかPerplexityで自分の専門分野に関する一般的な質問を実際に投げてみる
- AIの回答に自事務所や競合の名前が出てくるかを確認する
- 「話しやすさ」を感じてもらえるページ(よくある質問・初回相談の流れ等)の充実度を点検する
- 税務・労務等、自分の業種に近い分野の利用実態データが新たに公表されていないか定期的に確認する
まとめ
法律相談の現場では、情報収集はAI、依頼は専門家という使い分けの構図がデータで裏づけられつつあります。この構図は今後変化していく可能性もあるため、断定せず定点観測を続ける姿勢が欠かせません。次のJ-2では、この使い分けを「クエリの型」として具体的に分類していきます。
このレッスンはテキストとスライドで学べます。スライドは上のビューアからご覧ください。
確認テスト
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Q1. 弁護士ドットコムの意識調査では、「打ち明けやすさ」への期待はAIが48.0%、弁護士が29.2%とAIが上回った
弁護士ドットコムの意識調査(2025年4月発表)でAI48.0%、弁護士29.2%という結果が報告されている。
Q2. 同調査で「生成AIの利用経験がある」と回答した割合はどれか
生成AI利用経験ありの回答は60.6%(日常的19.8%+たまに33.3%+一度だけ7.5%)である。
Q3. 実際に相談したい相手として弁護士とAIのどちらが選ばれたか
実際の相談利用意向は弁護士62.3%に対しAIは11.0%にとどまったと報告されている。
このレッスンのFAQ
Q. 士業に関わるAI利用調査はどんな結果でしたか。
弁護士ドットコムの意識調査(2025年4月発表)では、生成AIの利用経験がある回答者は60.6%にのぼり、利用サービスはChatGPTが91.6%と突出していました。
Q. 「打ち明けやすさ」と「実際の依頼」で結果は同じですか。
いいえ。打ち明けやすさへの期待はAIが弁護士を上回る一方、実際に相談したい相手は弁護士62.3%に対しAIはわずか11.0%と、期待と実際の依頼行動には大きな差があります。
Q. 税務・労務分野でも同様のデータはありますか。
本編の執筆時点では、税務・労務相談に特化した同種の定量調査は見つかっていません(要確認)。